ルービンシュタインの即興演奏

京都ゆうこサロンピアノ教室

即興演奏とは、「その場で作曲・編曲・演奏を行うこと」です。即興演奏について、ルービンシュタインの面白いエピソードを読んだのでご紹介します。

 

「(ルービンシュタインは)ある時、ブラームスの曲を弾いている途中で暗譜がうろ覚えになってしまい、どこを弾いているかわからなくなってしまった。仕方がないので、自分で適当に即席で曲をでっちあげて、何とか最後までもっていったというのである。」(「クラシック音楽とは何か」(岡田暁生著)抜粋)

 

「楽譜に忠実に弾く」のがクラシック音楽で、ピアノでもコンクールやオーディションではエディションまで指定されることがほとんどです。「カデンツァ」と言われる、即興的な演奏をする部分でさえ、次第に楽譜に書き残され、楽譜に従って演奏するといった、即興ではない演奏が行われるようになりました。しかしながら、「モーツァルトの時代あたりまでは、即興を入れるのは当たり前であった」(前述と同じ本より抜粋)のです。

 

ルービンシュタインの即興ブラームスを「ぜひとも聴いてみたかった」と岡田氏が書いておられましたが、私も聴いてみたかったです。

 

ところで、シューベルトの作品に「即興曲」がありますが、そのタイトルはシューベルトがつけたものではありません。この場合の「即興曲」とは「形式にとらわれない、即興的な」という意味で、当時、「そういうタイトルにすれば、売れるだろう」と出版社がシューベルトの死後、つけたものです。歌曲王シューベルトの美しい旋律にうっとりする作品です。