フェルマータはどれくらいのばすのか?

京都ゆうこサロンピアノ教室
標準音楽辞典~ゆうこサロンピアノ教室

上の3つのマークは「フェルマータ」です。まんなかの「半円フェルマータ」が一般的ですが、右の「方形フェルマータ」はセヴラックの楽譜にもよく登場します。3つの違いは「長さ」で、セヴラックの楽譜にも、「方形フェルマータは半円フェルマータよりもいつも短く演奏する」と書かれています。

 

「フェルマータ」とはイタリア語で「停止」を意味します。イタリアでは実際にバス停の標識などでフェルマータ(FERMATA)の表示があります。

 

現在の日本の音楽教育では文部科学省の定める標準に、フェルマータが付けられた音符の2倍の長さに延ばすと教えられていますが、いつもきちんと2倍の長さというわけではありません。音楽之友社の「標準音楽辞典」には、「長い時価をもつ休符につけられたときは、長さを短縮することがある」と書かれているように、数学のようにきちんとこれだけの長さというのではなく、全体の流れとして違和感のないよう、あいまいさを残すのが音楽の楽しみであり、演奏家に任された表現なのだと思います。

 

「標準音楽辞典」は、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎さんが、小学生のときにサンタクロースにお願いしてプレゼントしてもらったというエピソードがある辞典です。インターネットでなんでも調べられる時代になりましたが、文字で書かれた分厚い辞典を手にすると、そのときの学者たちの思いまでが伝わります。(私も持っています!)