「ブルグミュラー25の練習曲」はバイエルとともに有名なピアノ教則本です。
ブルグミュラーというのは、人の名前です。本名はヨハン・フリードリヒ・フランツ・ブルクミュラー(1806-1874)です。ショパンやシューマンが生まれる4年前、1806年、ドイツで生まれました。
1832年、26歳のときにフランスに渡り、サロン音楽を作曲・演奏したり、パリのブルジョア階級の人向けにレッスンをしました。当時、パリで活躍することが音楽家の憧れで、ショパンもパリのサロンで活躍したことは有名です。ショパンは1831年にパリに渡り、1832年にデビュー・リサイタルを開きました。
「ブルグミュラー25の練習曲」は1曲ずつ、タイトルがついているので、曲のイメージがしやすく、
曲調も、サロンにぴったりな、かわいらしい曲が多いので、とても人気があります。
ところで、曲のタイトルはフランス語で書かれています。ここからは「大人ピアノ」のブルグミュラーの本題に入りましょう。
言葉というのは、「ニュアンス」というものがついてきます。たとえば1曲目の「素直な心」は楽譜によっては「あどけなさ」と書かれています。フランス語タイトル「La candeur」の和訳は「素直」ですが、ニュアンスには、「高潔さ」や「虚心坦懐」があります。つまり、「素直」というのは、子供っぽい、純粋な素直さだけでなく、言葉の裏にひそむ「ニュアンス」を含むのです。
当時のサロンのことですから、「大人」の言葉遊びがあったとしても、不思議ではないでしょう。そんなことを思いながらピアノを楽しむのが、大人ピアノの楽しみのひとつだと思っています。