
ビブラート(ヴィブラート)vibrato(伊)
〈震えた〉という意味で、音の高さの微々たる動揺をいう。1つの音の急速な反復であるトレモロとは区別する。(標準音楽辞典より)
そこで質問。「ピアノでビブラートをかけられるのでしょうか。」
答えは「できない」です。ピアノは一度、音を出したら、音色を変えることができません。自然と音が減衰してゆくだけです。
でも、それで終わってしまってはいけません。今回は巨匠ピアニストのお話をご紹介したいと思います。
以前、小山実稚恵さんは次のように語っておられました。
ビブラートは音楽表現の大切な手段。ビブラートのかけ方ひとつで、歌詞が胸に飛び込んできたり、感情が揺さぶられたり。(中略)
ビブラートの振れ幅、細かさ、長さやタイミング、音楽性がそこから見えてくると言っても過言ではありません。
残念ながらピアノはビブラートをかけることができません。一度出してしまうと音の修正は効かない。無念に思いますが、その分、気持ちでビブラートをかけようと思います。「ここでビブラートをかけたい」と強く願って鍵盤をタッチするなら、ピアノから出るさまざまな倍音が、多少であってもビブラートをかけてくれる、そんな気がするのです。タッチは気持ちで作る、というのが私の持論ですが、「こんな音を出したい」とタッチに気持ちを込めるなら、指(というよりも身体)はそういう音を作ってくれると信じています。
なんて素晴らしい言葉でしょう。私の音大時代の恩師も、これに近いことをおっしゃったことがあります。
今日のブログは世界の巨匠ピアニストの名言でしめくくりたいと思います。
「私はタイミング、タッチ、ダイナミクスを頼りに、それぞれの音に命を吹き込みます」– マルタ・アルゲリッチ
「私は音色で考え、音量で物語を語ります。正しい和音は鐘のように響きます」 – アルフレッド・ブレンデル